楽天、FREETEL買収!起こりえる今後の影響

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

淘汰されるMVNO

大手通信キャリアはとにかく月額費用が高い、一旦契約すると2年間も同端末、同契約内容に縛られてしまい自由度がなくて不便。などの不満が消費者の間からこぼれはじた昨今「高いスマホ料金をなんとかしたい!」「期間に縛られてることなく自由に好きなサービス、端末を選びたい」っと言う世間の声に答えるかのように出てきたのが、MVNOです。このMVNOですが、実は調べてみると意外と歴史は長く、2002年頃より総務省主体でされ開始されたサービスのようです。その後の2006年に開放されたMNP(モバイルナンバーポータビリティ)2015年に義務化された携帯電話のSIMロック解除などの緩和策により、いわゆる格安SIMという大手通信業者からインフラの提供を受け、消費者に安くインフラを2次提供する業界を一段と盛り上げ、拍車をかける要因になってきたというのはここ最近の話です。

有名タレントを使ったTVCMや、駅ナカ広告、新聞、ラジオ、雑誌など世間が一般的に目にする主要メディアを制圧する勢いで成長し、この数年で一気に市民権を取り、今や700とも800とも言われている拡大傾向にある格安SIM業社ですが、実は一方ですでに業界の再編成、淘汰が始まっているのも事実のようです。大手キャリアと格安SIMの垣根がなくなったということは、イコール格安SIM市場がすでにレッドオーシャンであることを意味している。総務省によると、20176月時点ではMVNOサービス事業者のほとんどは、まだ赤字の状況であり、文字通り「格安」を売りにしているだけあり価格競争を強いられ、今後未来の薄利化も容易に想像される部分でもあり、当面は各社我慢の経営が続くことになります。

そんな最中に発表されたのが今回の楽天によるFREETEL SIM事業の買収というニュースなわけです。新興型企業がいくら大型の資金調達に成功したとしても、事業を起動に載せるには暫く掛かるのも事実であり、競争激化の中薄利化とド派手なプロモーションを継続していけば当然息切れは起こします。それに比べて複合的な事業展開している総合企業にとってのMVNO事業への参入は体力的、環境的な余裕と相乗メリットがあり、当面の投資フェーズは見込んで参入しているもの事実です。その他にも、まだ記憶に新しい昨年2016年末にはauを展開するKDDIグループによるビッグローブの買収、U-mobileを展開するU-NEXTによる日本通信の買収などモバイル事業及び、業界自体の成長と変化は著しい状況であり、格安SIMを始めとした今後のモバイル業界の編成、事業領域争いは大小問わず、なにが起こるのか目の話せない状況とも言えます。

楽天が債務超過寸前のMVNO事業社を買収した本当の理由

今回買収された側のFREETELですが、運営会社はプラスワン・マーケティング株式会社という会社であり、設立は2012年で当初はAndroidを搭載したオリジナルSIMフリースマホの展開からスタートしている企業でした。その後、格安SIMの先駆けとして2015年よりMVNO事業に参入し、他社が展開するいわゆる「定額プラン」以外にユーザーファーストな「使った分だけ安心プラン」や流行りのSNS利用パケット通信が無料となる「パケット通信無料」サービス、「端末セット販売」などユニークな提供形態をいち早く取り入れ格安SIMユーザーの囲い込みに入った事業社です。広告塔には大人気女優の佐々木希さんやおもしろエロオヤジの高田純次さんなどを使いインパクトのあるプロモーションを展開しています。

そんなFREETEL事業ですが前述している通り台所事情は火の車です。まずユーザーを囲い込むためのための魅力的な安価なサービスとインパクトのあるプロモーション展開、これだけでも相当なコストが想像されますが、それに加えて20174月に業界初の行政処分を受け、展開していたプロモーションに大きな打撃となってしまいました。その処分を転機に当初から積み重なっていた累積赤字もクローズアップされ、一気に雲行きが怪しくなりはじめ、プラスワン・マーケティングの経営破綻は時間の問題とも見る向きも多く、7月以降から事実上の身売り先を検討し始めていたと言われています。実際に開示情報を見れば明らかですが、2017円3月期の売上高が100億強に対して純利益は55億のマイナス赤字となっており、資本金の半分以上を当期の赤字だけで支配してしまっていることがわかります。

そんな悪条件が揃ったFREETEL SIMの買収に踏み切った楽天にははたしてどのようなメリットがあるのでしょうか?今度は楽天側から見た検証をしてみましょう。前述で業界再編性の示唆に触れましたが、現在両社の業界順位を見てみると、楽天モバイルが現在業界4位、FREETEL SIMが業界6位となっております。FREETELのこれまでの債務まで引き継ぐ条件が付いている今回の買収で、それらを上回る楽天側から見たメリットを考えてみたところ、大きく3つ想定できました。ひとつめは今回のFREETEL SIM事業の買取価格が破格な安さであったということです。30億近くの債務を継承する条件は付いているものの、買取価格そのものは5.2億という破格な値段であったこと。事業そのものの流動資産が14億あるので、差額の16億と合わせて実質の買収額は21億、今後4大大手キャリア以外の血統でMVNO事業を拡大させていきたい楽天にとってFREETELの持つ43万回線を21億、単純計算1回線契約あたり4,800円強で買い取れたと考えれば安いものである。ふたつめはプラスワン・マーケティング社がFREETEL事業で大きな赤字を出していた一つの要因として挙げられるのが、ド派手に展開していたプロモーションコストである。対してい元々ブランド力のある楽天は市場をはじめとした総合インターネット事業を展開する企業として、ポイントや多角的なメディアプロモーションで相乗効果を出している企業の一つである。その中の一つの事業としてMVNOを展開するだけなので、プロモーションコストはFREETEL SIMほど必要とすることもなくそれ以上の効果が出せる見込みもある。そして3つめは楽天の本業である市場事業。こちらの国内最大のライバルはポータルサイトであるYahoo!である。Yahoo!はショッピング、オークションなど直接被る部分もあるが、総合的に見ると親会社であるソフトバンクグループも含まれ、プロ野球をとっても今後切っても切れないライバル関係にあるのは間違いない事実である。そのソフトバンクグループの運営するMVNOであるワイモバイルに少しでも近づき脅かす存在になっていく必要があるのです。そして楽天モバイルユーザーと合わせた120万強の回線とスーパーポイントアッププログラムでの囲い込みで楽天グループの持つ、その他の魅力的なサービスへのユーザー展開が最大の目的となり、今回の買収は楽天グループにとって買収コスト以上の計り知れないメリットが期待できるのです。

MVNO事業社構成比率の変革で変わること

現在MVNO事業のリーディング企業は、天下のNTTグループ1軍のNTTコミュニケーションズが展開してるOCNモバイルです。その次を行くのがIIJが展開するIIJmioいずれもMVNO事業社としてdocomo系回線を当初から優先的に展開している事業社2社です。3位にソフトバンクグループのYモバイルがあり、こちらは旧ウィルコムでありPHSからの切り替え当初から一定の法人企業を持っている企業でもありました。楽天は4位、プラスワン・マーケティングは6位となっています。これが今回の楽天グループによる買収劇により業界3位に躍り出ることになります。昨今格安SIM業界では、大手キャリア系列の子会社がシェア上位をがっちり固めてきつつあるなかでノンキャリア系で3位の飛躍はすごいことです。

次々と異業種から参入してくる格安SIM業界ですが、元々大手通信業社から回線を借りてサービスを提供するMVNO業社の提供する低価格費用にも限界があり、激化する利用料金競争も下げ止まってきた感がある。そして次なる差別化は、ポイントの連携や、SNSサービスの通信料無料提供、通話サービスのカケホーダイサービスなどの料金以外の部分での特色をいかに提供できるかが次なる大きなポイントとなってきます。また同時に契約者数のシェア率を取ることにより、キャリアに対し、より優位的な立場に立つことが、各社の課題となってきます。そしてノンキャリア系企業が優位的なシェアを取ることにより、近い将来現在の大手4キャリア、いずれかの企業自体をMVNO事業社が買収するなどということにも発展してゆく可能性もあるかもしれません。

楽天によるM&AでFREETEL契約中のユーザーにデメリットはあるのか?

すでに楽天、プラスワン・マーケティング間でM&A契約が合意されており、現FREETEL SIMユーザーは2017111日から契約先が楽天モバイルになります。それに伴い契約内容や適用キャンペーンの内容などはどうなるのか?確認してみました。FREETEL SIMが現行で提供している及び、過去に提供していた各種プラン及び、付随するオプションプラン、ヤマダ電機などとの店舗連携のプラン各種のサービスは契約先が楽天に変わってもそのまま継続して今までと同様の条件で利用できるとのことです。もちろん各タイミングで展開されてたキャンペーンに関しても、そのままの条件が継続して適用されるそうです。ユーザーは一安心ですね。楽天との連合体になることでFREETEL SIMを契約されているユーザーはポイントなど更なるメリットが追加されることを期待したいですね。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る