格安SIMへの乗り換えで後悔しやすいのは、月額の安さよりも、大手で当たり前に使えていたものが外れる点です。キャリアメール、通話の料金、家族割やセット割、支払い方法、店頭の窓口がその代表です。
どれも契約の前に調べておけば防げるもので、確認する項目は7つあります。いちばん期限が厳しいのはキャリアメールで、解約から31日を過ぎると同じアドレスは取り戻せません。
国民生活センターへの相談は、違いを知らずに契約したケースが多い
国民生活センターは2020年1月、格安スマホの相談が2017年度以降は毎年2,000件を超えていると公表しました。料金そのものより、サービスの中身が思っていたものと違ったという相談が目立ちます。
公表された事例には、次のようなものがあります。
- 無料で話すには専用アプリが必要だと知らず、2か月で約2万7千円の通話料がかかった
- 店頭のサポートを受けられず、スマホの使い方が分からないまま困った
- ネットの手続きに時間がかかり、前の会社の解約金がかからない期間を過ぎた
- 通販で買った中古のスマホにSIMロックがかかっていて、通話できなかった
同センターの報道発表では、契約当事者が60歳以上の相談の割合も年々増えていました。家族のスマホをまとめて乗り換えるときは、使う本人の使い方に合うかも見ておく必要があります。
契約前に確認したい7つの項目
乗り換えの前に確認する項目は次の7つです。上から確認していくと、申し込みの手続きと同じ流れで準備が進みます。
| 項目 | 後悔しやすい例 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 1. キャリアメール | 解約後にアドレスが消え、ログインの確認メールが届かない | 今の会社のメール持ち運びの案内 |
| 2. 通話の料金 | 標準の電話アプリでかけて30秒22円の通話料がかかる | 乗り換え先の通話料・かけ放題の条件 |
| 3. 今のスマホ | SIMロックや対応していない機種で使えない | 乗り換え先の動作確認一覧 |
| 4. 乗り換えの日 | 1年以内の解約費用や端末代の残りがかかる | 今の会社の契約内容と解約の案内 |
| 5. 家族割・セット割 | 自分が抜けて家族の料金が上がる | 家族全員分の請求明細 |
| 6. 支払い方法 | クレジットカードしか使えず申し込めない | 乗り換え先の支払い方法の案内 |
| 7. 困ったときの窓口 | 店舗がなく、設定をすべて自分で行う | 乗り換え先のサポートの案内 |
1. キャリアメールは解約から31日以内に持ち運ぶ
格安SIMに移ると、@docomo.ne.jpなどのキャリアメールは原則として使えなくなります。ただし大手3社には、解約後も同じアドレスを有料で使い続けられる持ち運びのサービスがあります。
2026年11月3日に3社の公式ページで、料金と申し込みの期限を確認しました。
| 会社 | サービス | 料金(税込) | 申し込みの期限 | 支払い方法 |
|---|---|---|---|---|
| ドコモ | ドコモメール持ち運び | 月330円(初回の申し込みから31日間は無料) | 解約日から31日以内。MNPの手続きで継続予約もできる | ドコモの回線がない人はクレジットカード |
| au | auメール持ち運び | 月330円 | au解約後31日以内 | au PAY(auかんたん決済)。UQ mobile・povo以外の回線ではクレジットカードのみ |
| ソフトバンク | メールアドレス持ち運び | 月330円または年3,300円 | 回線の解約後31日以内 | クレジットカード |
出典はドコモメール持ち運び、auメール持ち運び、メールアドレス持ち運びの各ページです。
「格安SIMに替えたらキャリアメールはもう使えない」と思われがちですが、期限内に申し込めば使い続けられます。逆に31日を過ぎると申し込めず、アドレスもサーバーに残ったメールも消えます。auは解約から申し込みまでの間に届いたメールを受信しないと案内しています。
当編集部で持ち運びを続けた場合の費用を計算すると、月330円で1年3,960円、2年で7,920円です。ソフトバンクの年払いなら1年3,300円です。銀行や通販のログインに使っているアドレスを1年かけてGmailなどへ移し、移し終えたら解約する使い方もできます。
2. 標準の電話アプリでかけたときの通話料を見る
国民生活センターの事例で最も高額だったのは、通話の方法を知らなかったケースです。大手3社の国内通話料は30秒22円が基本で、格安SIMにも標準の電話アプリでかけると同じ22円になる会社があります。
2026年11月1日に当編集部が10社を確認したところ、標準アプリのままで30秒11円になる会社と、専用アプリを使わないと下がらない会社に分かれていました。月30分話す人なら、22円と11円の差は月660円です。かけ放題を付けるかどうかも含め、乗り換え先の通話の条件を申し込みの前に確認してください。
3. 今のスマホがそのまま使えるか
手元のスマホを使い続けるなら、乗り換え先の公式サイトにある動作確認一覧で機種名を探します。同じ機種でも、購入した会社や発売時期によって使える回線が違うことがあります。
2021年9月以前に発売されたスマホは、SIMロックがかかったままのことがあります。通販で買った中古のスマホで通話できなかったという事例もありました。SIMロックの解除は今の会社のサイトや店頭で申し込めます。乗り換えの前に済ませておくと、開通の日に慌てずに済みます。
4. 乗り換えの日を決める前に解約の費用を調べる
大手3社には、契約してから1年以内に解約すると費用がかかる料金の決まりがあります。2026年10月26日に当編集部が公式の案内で確認した内容は、下のリストのようになっていました。
- ドコモ:2025年7月1日以降に新規契約した個人の回線を1年以内に解約すると最大1,100円
- au・UQ mobile:2025年10月1日以降の新規契約で1年以内に解約すると最大1,100円
- ソフトバンク:2026年7月1日以降の加入で、提供開始月から12か月以内の解約は最大1,100円
端末を分割で買っている人は、解約しても残りの支払いが続きます。返却を前提にしたプログラムを使っている場合は、返す時期を過ぎてから乗り換えるほうが負担が小さくなることがあります。費用の仕組みはMNPの仕組みと1年以内に解約したときの費用の記事で紹介しています。
ネットで申し込む場合は、SIMが届くまでに数日かかります。前の会社の請求の締め日や端末の返却期限が近い人は、日にちに余裕を持って申し込んでください。
5. 家族割とセット割は家族全員の請求で計算する
大手の家族割や光回線とのセット割は、家族のスマホの月額から引かれる仕組みです。1人が抜けると、残った家族の割引が減ることがあります。自分の月額が下がっても、家族全体の支払いが増えては意味がありません。
格安SIMにも光回線とのセット割はありますが、2026年11月2日に当編集部が8社を確認したところ、割引は月220〜660円ほどでした。家族の人数分は増えず、光回線1回線分の割引が中心です。ahamo・povo2.0・LINEMOは、光回線と組み合わせても月額が下がりません。
計算するときは、乗り換える前と後で家族全員の月額を合計して比べます。光回線の料金も含めると、割引が外れる影響が見落としにくくなります。
6. クレジットカードを持っていない人は支払い方法を先に見る
先に確認したいのは、乗り換え先が口座振替に対応しているかどうかです。2026年11月1日に当編集部が13社の支払い方法を確認したところ、口座振替で払えるのは楽天モバイル・ワイモバイル・UQ mobile・ahamoなど大手の系列が中心でした。
IIJmioやイオンモバイルなど、月額をクレジットカードでしか払えない会社もあります。
「格安SIMはどこもカードが必要」というわけではありません。デビットカードを使える会社もありますが、J-Debitは使えないことが多いので、申し込みの画面に進む前に支払い方法の案内を確認してください。
7. 困ったときに相談できる窓口を決めておく
MVNO(大手から回線を借りて提供する会社)の多くは、申し込みから設定までをネットで行います。店舗が少ない会社では、初期設定や機種変更のときの手続きを自分で進めることになります。
国民生活センターは、契約の前にサポートの内容と問い合わせの方法を確認するよう呼びかけています。
店頭で相談したい人は、ショップのある会社を選ぶか、家族の誰が設定を手伝うかを決めてから乗り換えると、使い始めてから困りにくくなります。大手の系列のサブブランドも含めた音声通話SIMの選び方は、乗り換え向けの音声通話SIMの比較をご覧ください。
乗り換えた人の体験談
当編集部が確認したところ、次のような体験談がありました。
- ソフトバンクからドコモ回線の格安SIMに移った人が、後悔はなく、むしろ早く替えなかったことを悔やんだという体験談
- 格安SIMを8年ほど使っている人が、昼休みの時間帯は遅いと感じるものの、家に固定回線があるので気にならず、後悔したことはないという体験談
どちらも個人の体験で、時期や使い方により異なります。2つめの体験談のように、家のWi-Fiがあるかどうかで昼の遅さの感じ方は変わります。格安SIMの長所と短所の全体は、格安SIMのメリット・デメリットの記事で紹介しています。
申し込みの前日までに済ませる順番
7つの項目を確認したら、次の順に準備すると手続きが止まりにくくなります。
- キャリアメールで登録しているサービスを書き出し、移すか持ち運ぶかを決める
- 家族全員の今の月額と、乗り換え後の月額を合計して比べる
- 手元のスマホが乗り換え先の動作確認一覧にあるかを見て、必要ならSIMロックを解除する
- 今の会社の契約日と端末代の残りを確認し、乗り換える日を決める
- 支払いに使うカードか口座を用意してから、乗り換え先に申し込む
料金・手続きの条件は記載時点の内容です。契約の前に、各社の最新の案内で条件を確認してください。






